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湿り空気線図
前々回(連載5回)の乾湿計で出てきました「湿り空気線図」について、その使い方を説明します。空調業界では、冷暖房設備を考える時、どれ位の能力を持つ機器を選定すれば良いかをあらかじめ計算しておく必要があります。この湿り空気線図は、それらを考える場合に必要な数値を導くことができる一種の物差しの様な図です。
ある空気の状態を図上の1点で示し、この点から乾球温度、湿球温度、水蒸気圧、絶対湿度※、相対湿度、エンタルピーを求めることができます。(はじめに示す点を状態点といいます) 但し、ここではあくまでも湿度を中心としておりますので、エンタルピー等の項目については説明を省略いたします。 この空気線図には、乾球温度の範囲によって -40℃~+10℃(LC線図)、-5℃~+45℃、0~+120℃(HC線図)の3種類があります。
※ この章で出てくる絶対湿度は工業上の混合比のことです。
この空気線図は、空調業界でよく使用される為、このような表現となっています。
ここでもこの回に限り絶対湿度をkg/kgで表すこととします。
それでは、具体的にこの空気線図の使い方を練習してみましょう。 前述の乾湿計を使用していると仮定し、乾球温度と湿球温度から相対湿度やその他の値を空気線図より求めてみます。
例) 乾球温度 30℃、湿球温度 23℃の時のそれぞれの値は?
まず、図の中から状態点を探します。 湿球温度は左から右下へ下がる破線、乾球温度はX軸から垂直に立つ実線です。 次の図ではA点が状態点、つまり湿球温度23℃、乾球温度30℃の点です。そのA点と交わるBの曲線が相対湿度を表します。
この例ですと55%RHの線が交わっています。
まとめ(1)
乾球温度30℃、湿球温度23℃の相対湿度は、55%RH。次に、この空気の露点温度を図より導きます。露点温度とは前述したように、今の空気を何℃まで冷却すれば相対湿度が100%RHになるか…ということです。それをこの空気線図の上で探します。まず、与えられた条件より状態点を探します。前例通り、乾球温度 30℃、湿球温度 23℃、状態点は次図のA点です。
この状態点Aから空気の温度を冷却する方向、つまり乾球温度軸に平行に左へ移行します。Cの線、つまり相対湿度100%RHの線と交差する点Dを求めます。このD点の乾球温度Eが露点温度となります。この例ですとE点は20℃となります。
まとめ(2)
同条件での露点温度は、20℃。同様に、状態点A点より右に移行し、F軸(縦軸)と交差するG点の値を読み取ることにより水蒸気圧(mmHg)、絶対湿度(kg/kg)を求めることができます。
まとめ(3)
同条件での水蒸気圧は、約17mmHg。
まとめ(4)
同条件での絶対湿度は、約0.0145kg/kg。